つくし日記 ~日々の暮らしと翻訳と~

書くこと、歩くこと、自然を愛でることが好き。翻訳の仕事をしています。

人生を豊かにする方法を知ることができる本2冊

めずらしく3日連続で記事を書いている。

きょうは、以前読んだ2冊の本の話。

『CALM YOUR MIND 心を平穏にして生産性を高める方法』クリス・ベイリー 著 児島修 訳(朝日新聞出版)を読んだ。

心を穏やかに保つことと生産性を高めることとを結びつけて考えたことがなかったのでとても興味深く、その方法は実践してみたいことばかりであった。

家事や仕事、子育てなど、やるべきことに追われがちな現代社会である。私も、家事や仕事をするなかで、効率や生産性、成果などを日々問われ、物事を「少しでも効率よく済ませる」姿勢がいつの間にか身についた。現在携わっている翻訳業務についても、少しでもよいものを作りたいという思いは強く、一切手を抜かない(自分との)約束で取り組んでいる一方、やはりお金も必要だから少しでも効率よくできる方法を研究することも怠ってはいない。生産性を高めたいという思いは強い。

このブログにも何度か書いているが、私は仕事がない(少ない)と不安になる。ひと仕事を終えて手持ちがなくなりしばらくたつと、不安とともに罪悪感が湧き上がってくる。仕事をしていない時間、生産的な時間を過ごしていないことは悪であると感じるのである。

ところが、本書には「無目的な時間に罪悪感を覚える必要はない」(p.312)と書かれていた。それよりも、「不安を克服し、心の平穏を見出すことに投資」(p.316)せよと。なるほどと思う。不安や罪悪感を払拭しようと勉強を開始してみても、心は不安なまま、落ち着かない。次の仕事が早く来ないかとメールボックスを確認してばかりでなかなか集中できない。そこで、まず心の平穏を得るための方法を試すことにより、生産性を高められるのだということを知った。本書には、そのさまざまな方法が具体的に記載されている。勇気が湧いてくると同時に、ぜひいろいろと試してみたいという気持ちになった。心の平穏を得るための方法を試すことは、そのまま人生を豊かにすることにもつながるということもわかる。

もう1冊は、『グッド・ライフ 幸せになるのに、遅すぎることはない』ロバート・ウォールディンガー マーク・シュルツ〈著〉 児島 修〈訳〉(辰巳出版) 。

訳者は、先ほど紹介した『CALM YOUR MIND 心を平穏にして生産性を高める方法』と同じ児島修さん。

80年以上の追跡調査に基づいて解明された、よい人生を送るための方法が書かれている。さまざまな背景の人々の人生が記録されており、説得力があり、おもしろい。タイトルにもある「幸せになるのに、遅すぎることはない」という言葉とそれを確かに示すある方の人生の記録には、大変勇気づけられた。私も、今からでも遅くないのだと。

試し読みなどもできるこのような紹介ページも↓
グッド・ライフ – 辰巳出版株式会社

自分の生き方を見直すきっかけを与えてくれるこのような本に出会えるのはとても幸運。このような翻訳書を読むたびに、その本のよさを日本語でまるごと味わえる素晴らしさや喜びと、翻訳者さんへの尊敬の思いがあふれてくる。

著者、翻訳者、出版社や書店のほか、このような本に携わっている方々に感謝の気持ちでいっぱいである。