引越しに伴い、心療内科を変更した。
引越し前に通っていたのは自宅から徒歩20分くらいのところにあるクリニック。
そのクリニックを選んだ理由は「自宅から近いこと」であった。当時は過敏性腸症候群(下痢)の症状が比較的強かったため、電車に乗らなくても行ける場所であることが何よりの優先事項だったのだ。
のちにそのクリニックに通う理由が、過敏性腸症候群とは入れ替えに強迫症となったわけだが、やはり電車は避けたかったためそのクリニックへの通院を継続した。
ちょっとこのクリニック(医師)とは合わないかも…と感じようが、3分診療(実際のところ30秒診療の日が多かったかもしれない)であろうが、薬さえ入手できればそれで十分だった。自分で探した別の心理士さんにカウンセリングをお願いしていたから、それで満足していたという部分も大きい。
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さて、引越しを機に、その考えを改めることにした。
クリニック選びの第一の優先事項を「自宅からの距離」ではなく「相性がよく信頼できる医師」にしよう。
なぜなら、心理士さんによる強迫症の治療(行動療法)を昨年卒業し、その後は自分の症状について定期的に話す機会がなくなっていたためだ。そのため、ある程度話を聞いてもらえる医師を選んだ方がいいなと思ったのだ。
そのようにして選んだ(といっても、真実かどうかわからないし個々の患者の感じ方によっても評価が異なると思われる、どこまで信じてよいのか疑問が残るネット上の書き込みを見て選ぶしかなかったのだが)クリニックに先日行ってきた。
ご年配の先生は大変穏やかな方で、とても話しやすかった。カウンセリングではないため先生の質問に簡潔に回答するにとどめたが、いつまでも話をしていたいと思わせるような人だった(まあ、引越し以降、私は人との会話に飢えているためだれかを目の前にするとつい話したくなってしまうという部分もあるのだが)。
先生は、「相性がありますからね。私とは合わないなと感じたら、いつでも別のところへ行ってください。そういうストレスを抱えていると、治療によくない影響がありますからね」というようなことを言った。
これまでお世話になったクリニックの先生は、この先生を含めて4人目であるが、このようなことを言われたのは初めてだった。さすがに次の予約を強要してくる先生はいなかったが、合わなければ別のところへ行ってもいいですよと言葉にして伝えてくれたのはこの先生が初めてである。
このような一言があるかないかで、コミュニケーションの満足度や他人に与える安心感の度合いは大幅に変わるのだなと思った。そんなふうに言えるなんて素敵なお人柄だなと思った。
初診は30分程度だった。
次回以降もある程度お話はできますかと尋ねたところ、先生はいい質問ですね、それをお伝えしようと思っていたんですと言い、「長めに話をしたい場合は時間を確保しますので事前におっしゃってください」と続けた。これを聞いて私の安心感はさらに増した。
というわけで、初診はとてもいい印象で終了した。
もちろん一度の来院だけでこのクリニックのすべてがわかったわけではないが、何事もないかぎり、このクリニックへの通院を継続することになると思う。
いい予感。
この新しい出会いに感謝したい。

ハクモクレンの花が咲き始めた。