つくし日記 ~日々の暮らしと翻訳と~

書くこと、歩くこと、自然を愛でることが好き。翻訳の仕事をしています。

減薬開始 40→35

強迫症強迫性障害)を治療するために約2年4ヵ月服用してきた薬を減らしていくことにした。

私が服用していたのは、もともとうつ病の治療薬として承認されていたSSRIという薬の一つである。のちに、投与量を増やして使用すれば強迫症に効果を示すことが確認され、適応が追加された。うつ病強迫症は異なる病なのに、量を変えることによってそれぞれに効果が示されるなんて不思議だしすごい。

入院時は、この薬を徐々に増やしていき、40 mg/日を服用していた。担当医は最高の投与量である50 mg/日まで増やしたかったみたいだけど、当時私の体重は37.5 kg(身長162 cm)しかなかったため量が多すぎやしないかという不安と増やしたくない旨を伝えたところ、確かに!とおっしゃって40 mg/日を維持することになった。ただ、それに加えて、作用を強めるため、さらにもう一つ抗精神病薬を服用していた(これは退院後まもなく服用をやめた)。早くに成果を出す必要があったのだろう。

SSRIは服用を開始してから効果が出るまでにいくらか時間がかかる。以前、医師から、長ければ3ヵ月とか半年くらいかかる人もいると聞いていたので、入院が長引いたらどうしよう(金銭面や仕事の面で)と思っていたのだが、幸い私の場合は1ヵ月程度で効果がみられ始めた。あれほどしつこく繰り返していた手洗いが「面倒」だと思う気持ちが芽生えていることに、ある日突然気づいたのだ。誰かに強制的に洗面台から引きはがされているような、きわめて不思議な感覚だった。

 

あれから2年4ヵ月。行動療法も併用して、現在ではほぼふつうの人(強迫症ではない人)のように振舞えるようになっている。強迫症は、一度落ち着いてもまた症状が現れる確率がとても高いとのことなので不安はあるが、薬の副作用にも悩まされる毎日なので、できれば減薬を成功させたい。ゼロにするかどうかまでは決めていない。まずは、少しでも減らして副作用が軽減されればありがたいと思っている。

先生の指示のもと、まずは40を35に。これを2ヵ月間維持する。
これまで20 mg錠を2錠服用していたのだが、20 mg、10 mg、5 mgを各1錠服用することになった。10 mg錠と5 mg錠には、4分割できる割線が入っており、そこまで小刻みにできるようになっているということは…ずばり減薬が難しいってことよねと若干びくびくしてしまう。

1週間ほど経過したが、いまのところ離脱症状と思われる症状も、ぶり返すような症状も出ていない。20 mg×2をずっと続けていたから、まだ体の中であまり大きな変化が起こっていないのかもしれない。このままなにごともありませんように。

***

それにしても、この薬からめちゃくちゃ恩恵を受けた。もし強迫症の適応追加がなければ…強迫症の薬がこの世になかったとしたら…私はどうなっていただろう。

当時は自宅のトイレに行くことさえ怖くてとても困難で、自宅の壁さえ恐ろしくて一歩動くにも極度の緊張と時間を要した。何かを飲み食いするには地獄の手洗いをしなければならず、それなら食べない方がましだと思っていたため体重は減る一方。あるときは、朝起きてから水を飲むまでに5時間ほどかかり、あれがこの猛暑の時期だったらどうなっていたかと思う(なぜ5時間もかかったのか。起きてトイレに行ったときに体全体が汚染されたと思いシャワー、そのあと[部屋のどこにもふれずに自分が汚染されていない完璧な状態で]着替えてコップを手に取り蛇口から水を注ぐまでの工程がなかなかうまくいかず、シャワーと着替えと手洗いからどうしても抜け出せず泣きながらぐるぐると繰り返していたためだと思う。どんなにのどがカラカラでも、シャワーを何度も浴びてぐったりしてとてつもなくしんどくても[ただシャワーを浴びるのではなく、蛇口やシャワーヘッドを毎回洗浄してから、頭と体を自分が決めた手順どおりに完璧に間違えずに洗わなければ終わらせることができない]、絶対に自分が完璧に汚染されていない状態でなければ、コップや台所のいろんなものをさわれなかったのだ)。