つくし日記 ~日々の暮らしと翻訳と~

書くこと、歩くこと、自然を愛でることが好き。翻訳の仕事をしています。

強迫症とのつきあい、3年目

徒歩とバスで役所へ行く。

自立支援医療(精神通院医療)の年に一度の更新手続きと、そのほかしなければならない手続きがあったから。きょうは計3つの窓口で対応してもらい、ひさしぶりに家族以外の人と長めのやりとりをした。

自立支援医療制度の利用を始めたのは、心療内科での強迫症強迫性障害)の通院治療が長引くだろうと思われた、2022年7月頃のこと。今回で2回目の更新になる。

発症時期について細かいことを言うと、明らかな症状が出始めたのは2022年1月末。強迫症をわずらって約2年と3ヵ月が経過した。つまり、強迫症とのつきあいは3年目に入っているということである。

(このブログにもこの話題を何度も書いているので、その経過をなんとなく追っていてくださる方もいらっしゃるかもしれないが)2ヵ月の入院+その後の薬物&カウンセリング治療によって現在はかなり改善し、今後は薬を減らしていけたらいいなと考えているところである。

 

入院はちょうど今の時期だったので、最近は当時のことをどうしても思い出してしまう。思い出したからまた悪化する、ということはないが、地獄のような恐ろしい日々が頭に浮かぶと気分が滅入るので、ほかのことに集中するようにしている。

それでも、その記憶を忘れてはならないと思うのは、やはり、夫を巻き込み、今も彼を苦しめているという事実があるためだ。私が強迫症を発症するまえの明るくてにぎやかな夫は、まだ戻ってこない。彼の笑顔やユーモアあふれる部分は、私の前では、いまだに影を潜めている。まだ夫も通院と服薬が必要で、その副作用にも悩まされている状態である。

 

そんななかで読んだ本が『妻はサバイバー』(永田豊隆、朝日新聞出版)。

精神障害に苦しみ入退院を繰り返した妻との20年間近くにわたる闘病生活がつまびらかに綴られており、どう表現すればよいかわからないほどのあまりの凄まじさに加えて、障害の内容や程度、闘病期間は異なるもののまるで自分と夫の姿を見ているような感覚にとらわれる部分、自分と重なる部分、夫と重なる部分があるのが苦しく、何度も本を閉じたくなったが、同時に次々と読み進めたくなる勢いに押されて最後まで読み切った。

図書館で予約し長いこと順番待ちをして手にした本(おそらく、新聞で連載され大きな反響を呼んだことや書評に出たことによる影響があるだろう)だったが、返却したあとにどうしても手元に置いておきたくなり結局購入した。

日本の精神科医療が抱える問題についても、考えるきっかけを与えてくれる。

何よりも、著者もご本人も壮絶な闘いに苦しみ生き延びたなかで、よくぞここまで書いてくださったものだと思う。著者とご本人に感謝したいし、精神疾患患者の一人として、多くの人に読んでもらえたらとも思う(きょうはここまでにしておくが、この本についてまた書くかもしれない)。

【公式】永田豊隆『妻はサバイバー』

ご興味があれば、著者の言葉もぜひ読んでみてほしい↓

【ノンフィクション本大賞ノミネート作】摂食障害、アルコール依存症、認知症…妻の介護を綴ったルポ『妻はサバイバー』著者の願い|朝日新聞出版さんぽ