つくし日記 ~日々の暮らしと翻訳と~

書くこと、歩くこと、自然を愛でることが好き。翻訳の仕事をしています。

帰省、5年半ぶりの5日間 (3) 友人の家、友人の世界

帰省3日目。

きょうは中学のとき3年間同じクラスだった友人の家に行く日。

駅から友人の愛車(個性的な小型マニュアル車)に乗せてもらい、彼女の家に向かう。「見た目昭和、中身は平成、大正築の二軒長屋に引っ越した」と聞いていたので、以前からおじゃましてみたいと思っていたのだ。

 

引き戸を開け、玄関でまず目にしたのが、陶器を焼く窯、ろくろ、そしてさまざまな道具類(写真を撮ることと、それをブログにアップすることは彼女にOKをもらった)。


窯(右)とろくろ(真ん中の円柱みたいなもの)がなぜここにあるのかはわかるけど、どうしてのこぎりが?

 

仕事でも趣味でも陶芸に熱中していた彼女。
以前は自宅とは別に作業場を借りていたそうだが、窯なども置けるこの広い玄関に惹かれてここに越すことを決めたという。

そうそう、私の実家があるこの街は、陶器(美濃焼)の産地である。

絵を描いたりものをつくったりすることが大好きでセンス抜群の彼女が、芸術、なかでも陶芸の道に進んだことを、私はひそかに誇りに思っていた。

ただ、今は「自分の作品をつくりたい」という気持ちがなくなったため、窯も手放すことにしたとのこと。仕事も方向転換し、また新しいことに打ち込んでいる様子だった。

陶芸から離れつつあるということを聞き、少し残念に思う自分がいる。

でも、陶芸ではなくとも、現在も自分の好きなこと得意なことを生かせるものに携わり、その技を磨き続けている様子や、新しく夢中になっていることがあると話し目を輝かせる彼女を見ると、やはり友としてとてもうれしく思う。

世間の枠にはとらわれない友人の自由奔放さ、うらやましいなと思う。おもしろそう、やってみたいと思うことを見つけたら一直線、すぐに行動に移すところは私も似ていてその気持ちは少しわかるのだが、彼女の大胆さや行動力には心底驚かされる。もちろん、行動を起こしてすべてがすぐにうまくいくなんてことは、人生、そんなにあるものではない。それに、事実、必死で働いていても、やりたいことをやっているぶん「お金はほんとにない…」のだという。

それでも、「今が一番楽しい」と言い切る彼女の言葉や表情は、すがすがしくもたくましくもあり、こちらまで楽しくなってくる。

 

部屋にはこんなものも…。


夏には寝床としても活躍するというハンモック。

その下には今、最も夢中になっているらしいバイクのヘルメットがふたつ。
少し前に免許を取り、購入したバイクは、ただ乗っているだけでもう本当に楽しくてしかたがないのだという。


おもしろいものが部屋じゅうにあふれていて、眺めているだけで楽しい。

一つひとつカメラに収めたいくらいだったが、さすがに遠慮しておいた。

 


近所の和菓子屋さんで一緒に選んできた山帰来麩まんじゅう(めちゃくちゃおいしい!)。

友人はお茶も習っている。通常は和菓子を先に頂くのだということを教えてもらい、それに従っておもてなしをしてくれた。


一緒に和菓子を頂いてから、友人が抹茶を点てて出してくれた。
心をこめて準備してくれた友人の思いを感じながら、とてもおいしく頂いた。

抹茶を頂く機会はあまりないからドキドキしつつも、心地いい雰囲気、心地いい時間を楽しませてもらう。

季節による抹茶碗の形のちがいや模様の選び方などについても話してくれた。
ふぇ~、どこまでも奥が深そうなお茶の世界。

一緒にいるあいだ、8割くらい友人がしゃべり、私はその話にずっと笑わされつづけていたような感じ。独創性あふれる彼女の世界はおもしろい。学校という鳥かごの中に閉じ込められていたころは、そこまで個性を発揮しているようには感じられなかったが、その鳥かごから出て自由を手にしてから、年を重ねるほどにおもしろみが増していっているような気がする。たぶんこれからも。彼女の好奇心は尽きることがないだろう。

そんな色とりどりの世界を私に見せてくれることをとてもうれしく思う。

 

帰りは一緒に歩いて駅へ。


駅の広場の地面に埋め込まれている美濃焼のタイル。

「私のもあるんだよ~」と友人(左上)。

「今日が最高」だって! 友人らしいなぁ~。