つくし日記 ~日々の暮らしと翻訳と~

書くこと、歩くこと、自然を愛でることが好き。翻訳の仕事をしています。

卒業

「卒業」というタイトルで書くには少し遅すぎるけれど、この春、私はあることから卒業した。

そのあることとは、強迫症(不潔恐怖)の行動療法である。

薬物療法は現在も続けているが、行動療法はひとまず終了してもよいと思われる程度の状態まで、症状が回復したということである。

強迫症を発症したのが2022年1月頃。
症状が悪化して入院していた期間は2022年5月~6月。
症状が落ち着いて行動療法を終了したのが2024年3月。

入院時の様子や治療については以前、こちら(旧ブログ)にまとめたことがあるので、今回は退院後の行動療法による治療について、どのような方法でどのように改善したのか少しまとめようと思う。

お世話になったのはOCDサポート さん。

カウンセリングはオンラインで。修了時にカウンセラーさんがまとめてくださった記録によると、この約2年間で35回の面談を受けている。

以下、まとめ。

入院前:自宅でほぼ動けない(壁さえ怖い)ところまで悪化
退院後:動けるようにはなったが、依然として日常生活でいろいろと支障のある状態→この状態でカウンセラーさんによる行動療法を本格的に開始

<行動療法でできるようになったこと>
(すべて「ウイルスや菌がついているかも」という恐怖からできなかったことです)
・買ってきた商品に普通にさわれるようになった
・手づかみで食べられるようになった
・図書館で本を借りられるようになった(症状がひどい時期は建物に近づくことさえできなかった)
・ドラッグストアや薬局に行けるようになった&商品にさわれるようになった
・新聞や郵便物、宅配便のダンボールとその中身をさわれるようになった
・生野菜や生ものを食べられるようになった
・外のトイレを使用できるようになった
・クリーニングで衣類の受け渡しができるようになった
・外食できるようになった(手づかみも含めて)
・恐ろしい(と思って避けていた)ものを見てもあまり取り乱さないようになった
・肉や魚に火を通しすぎず、ほぼ適度な状態で火を止められるようになった

などなど…

<OCDサポートを利用してよかったと思う点>(あくまで私の感想です)
・オンラインでも面談可(恐怖で外に出られなかったため助かる)
・個々に合わせた治療(最初の数回は、病気の重症度や患者の性質などを、面談や、精神科領域の数種類の質問票を使用してカウンセラーさんがかなり細かいところまでチェック。多少時間はかかるが、自分の特徴をさまざまな側面から把握してくださったうえで治療を開始してもらえるので安心)
・行動療法は、カウンセラーさんが一緒にやってくれることがある
・カウンセラーさんが優しく、かなり親身になって話を聞いてくれる
・必要に応じて行動療法以外の方法も使用
・料金設定が良心的(「1時間〇〇円」などではなく、毎回、かかった時間のぶんだけ5分単位で料金が計算されるので、短時間のときは料金が安くなる)
患者会、家族会などの開催もある(これは、OCDサポートの治療を受けていなくても参加可能)

などなど…

強迫症に対する曝露療法の場合、その都度カウンセラーさんと相談してハードルの低いものから順に行うため(例えば、私の「図書館の本を借りる」という課題なら、まず図書館に入る→棚にさわる→さわれそうな本にさわる→借りる→ハードルの高い本も借りる、などというように)、課題に取り組みやすかった。

また、「手づかみで食べる」などは一人ではなかなかうまくいかなかったため、カウンセラーさんが(画面越しに)見守るなかでやってみたところ、途端にうまくいくようになった。

このように、私の行動療法はこのカウンセラーさんとともにあり、本当に力をいただいた。治療がうまくいくかどうかは、カウンセラーさんとの相性も大切だと思う。ちなみに私はこのカウンセラーさんは3人目だ。見つけることができて本当によかったと思っている。出会えたこと、親身になって治療を続けてくださったことに心から感謝している。

カウンセラーさんに教えていただいたことを引き続き実践し、さらに過ごしやすくなるよう努め、薬を減らしてもやめても問題ないところまでもっていきたい。

うちには、もう一人、あることから卒業した人がいて、3月末にこのお花を持ち帰ってきた。

現在ではユリが大きくひらき部屋中にその香りがただよい、卒業を祝うとともに新しい門出を応援してくれているかのようである。